『 ブラック企業 』や『 未払い残業代を請求 』などの言葉が一般的になってきましたよね。

 

そんな会社で働くなら転職すれば良いのに・・・

 

なんてことで、最近では退職代行なども一般的になりました。

ただ、身近にいる人たちで実際に未払いの残業代を請求できたと言う話はなかなか聞けないのではないでしょうか。

 

今回は私が過去に実体験として行った、残業代の請求開始から和解までのポイントをまとめてみました。

 

【体験談】残業代請求を弁護士に -依頼する切っ掛け-

手続きの前に少しだけ、当時私が置かれていた状況を紹介しておきます。

 

私が当時働いていた会社は、プロモーションの会社でした。

 

簡単に言えば、携帯ショップなどで週末にコスチュームを着たイベントスタッフが店頭で呼び込みしていますよね。

 

あの子達を週末に各店舗へ手配している会社です。

 

派遣なんかとイメージが近いですね。

 

まぁ他にもデパートで行われるイベントスタッフや、某居酒屋などで試供品のタバコを配っているスタッフの手配などもしていました。

 

当然、同じ仕事が毎日安定してあるわけなどなく、あの手の会社では常にスタッフ不足に悩まされています。

 

私は求人の手配・面接・取引先への営業・スタッフへの仕事の紹介・給与計算・現場への同行・請求書などの管理全般などをこなしていました。

 

というか殆どすべてやってましたね(笑)

 

しかも関東1都3県に取引先があるので、移動だけでもだいぶ時間を取られていました。

 

そんな状態なので、仕事が定時で終わることなどは無く。

10連勤で半分以上会社に泊まりこみが普通でした。

 

ただ、最初はそれでも苦ではなかったんですよね。

 

残業時間なんて多い月で200時間ぐらいしていましたし、休みの日に1日で最大80回以上会社や取引先から電話がかかってきたりしていました。

 

じゃあ何で残業代請求になったのかというと、よくある話ですが上司ですよね。

 

ある日、本社から移動してきた上司が自分の給料を他の社員に無断で公表。

 

そして、自分のやってることなんて大半が外注でできると言われた時に、カチッとスイッチが入りました。

 

ここから自分の戦いが始まりました。

 

【体験談】残業代請求を弁護士に -依頼前の準備-

さて、当時は残業代請求の方法なんて分かりませんでした。

 

ただ、なんとなくの知識として証拠は集めなければいけないと言うことだけは分かっています。

 

そんな状態で自分が確保した(確保できた)証拠がこちら。

  • タイムカード(2年分)
  • 就業規則
  • 入社時の契約書類

 

タイムカードが2年分なのは、それ以上遡っての請求はできないからです。

 

当然、タイムカードも就業規則もコピーになります。

 

自分がラッキーだったのは、上司は定時でさっさと帰るということと、タイムカードや就業規則の管理をしていたのが自分だったと言うことですね。

 

サクッとコピーを確保することができました。

 

ちなみにタイムカードを切ってから残業させるような会社の場合、メモを取ることも有効ですが可能であれば時間と日付が分かる写真を撮っておくとより有効です。

 

その日その時間まで会社にいたという確実な証拠になりますからね。

 

結局、色々調べましたが他に何を用意すればいいか分からなかったので、この時点で弁護士事務所へ連絡を入れることにしました。

 

【体験談】残業代請求を弁護士に -依頼の当日-

自分は残業代を請求すると決めた時点で、会社を退職するつもりでいました。

 

なので、退職を考えている日付の2ヶ月前に弁護士先生に会いに行きました。

 

予約時間に行くと、カウンセリングシートのようなものを書くように案内されました。

 

そこには【名前・住所・連絡先】などの基本的な情報から【相談内容・現在の状況】を書くスペースが大きく用意されていました。

 

色々と会社に対して思うことはありましたが、初対面の人に分かりやすくするために箇条書きで私は記入をしました。

 

記入した内容

  • 会社との雇用形態
  • 月間のおおよその残業時間
  • 退職を予定している日付
  • 現在の給料と内訳
  • 持ってきた資料と指示があれば用意できそうな追加資料の予測
  • その他自分が知りたいこと

 

ざっくり言うとこの辺ですね。

 

知りたいこととしては、解決までかかる期間や弁護士費用などを聞きました。

 

そしていざ弁護士先生と会って、記入した資料を基に口頭でも補足しながら状況を説明しました。

 

一通り話を聞きながら、時々メモをしていた先生から言われたことは一度資料を預かって内容を確認したいと言うことでした。

 

自分はてっきり、これぐらい取れるだろうから頑張りましょう!

 

と言う話になると思ってたんですが、これには拍子抜けでした。

 

と言うのも、最後に補足された点が残業代請求に限らないそうですが、

 

調停 → 合意和解

調停 → 和解不可 → 裁判 → 判決

 

このどちらかのルートが一般的です。

 

先生からも過去に難しいと思っていたら、会社側が即和解案に合意したケースもあれば、明らかな不法状態であっても裁判まで行くケースもあり中途半端に勝てる・勝てないというおとは言えないとのことでした。

 

ただ、自分は不安そうな顔してたんでしょうね・・・

この内容なら十分可能性はあると最後に励ましのようなことを言われました(笑)

 

こうして初めての弁護士先生との話は30分程度で終わりました。

 

そして、弁護士先生と直接会う機会はこれが最初で最後でした。

 

【体験談】残業代請求を弁護士に -依頼後の流れ-

さて、初めての弁護士先生との出会いから2週間程度経過したある日。

 

一通の封筒が届きました。

 

中身は預けてあった資料と、弁護士先生がまとめた資料でした。

 

そこにはタイムカードから実際の労働時間を表にまとめ、請求する残業代の金額が書いてありました。

 

この時点で確か400万を超えた金額になっていたはずです。

 

これにはかなりびっくりしました。

 

と言うのも自分が計算した限りではそこまでの金額になっていなかったからです。

 

驚いて事務所へ連絡して聞いてみると、こういったケースではまずは金額を多めに見積もる。

 

そこから妥協点に落としていく方法が一般的とのこと。

 

請求額分をすべて取れるケースは多くは無いが、どうですか?と言われたので自分は二つ返事でOKしました。

 

同封されていた書類に契約書が入っていたので、そちらに署名捺印をして即日返送しました。

 

ちなみにこのタイミングで会社へは退職の意思を伝え、弁護士先生にも退職日を共有しました。

 

ただ、金額の大きさに思考が鈍っていたんでしょうね。

 

これが失敗したと後悔するポイントになりました。

 

あ、ちなみに追加で資料がほしいとか何も言われませんでした。

 

【体験談】残業代請求を弁護士に -失敗点-

さて、時は流れ無事に退職して次の職場での仕事もスタート。

 

弁護士事務所が後は残業代請求をしてくれるので、運がよければ残業代が入ると思っていた自分。

 

退職後、最後の給料日の出来事。

給与がいつもの半分程度しか入っていない!

 

これにはマジで焦りました。

 

ブラック真っ只中で在職中の給与なんて微々たる金額。貯金もほとんど無い。

 

ここで初めて知る事実がありました。

 

自分が残業代を請求した会社の給与は月末締めの翌末払い。

 

そして、弁護士事務所は自分が退職した1週間後に内容証明郵便を会社に送っていました。

 

そう!

 

最後の給与支払い前に内容証明郵便が会社に届いてしまった。

 

結果、あれこれ理由をつけて給与を削られていたんです。

 

当時、給与体系が特殊だったので、向こうの言い分も違法ではないと弁護士から告げられました。

 

すぐに弁護士から残金を支払うように請求してもらいましたが、調停でということになり極貧生活を余儀なくされました。

 

この時に、なぜ自分は給与支払日後に書類が届くようにしてもらわなかったのか後悔しました。

 

とはいっても後の祭りですよね・・・

 

【体験談】残業代請求を弁護士に -費用とイメージの相違-

調停が開始されましたが状況は芳しくありませんでした。

 

やはり会社側は理由をつけて支払う金額を下げようとしてきます。

 

10万で合意を。

 

むり?じゃあ15万で。

 

こんなことを調停が終わるたびに弁護士先生から、先方の提案として聞かされました。

 

ちなみに調停が1回あるごとに、弁護士先生の日当1万円が成功報酬から引かれます。

 

自分が契約した事務所は

 

成功報酬から35%

調停や裁判の日当1万

印紙代実費

 

という契約です。

 

先ほどのような金額での合意なんて手元に数万円しか入ってこないので、納得する理由がないですよね。

 

ただし、この辺で自分は長期化を予測しました。

 

内容証明発送から最初の調停までに2ヶ月ほどかかりました。

 

その後、調停と調停の間には軽く1ヶ月は時間がかかります。

 

そして一番イメージと違ったのが弁護士先生から何も言われないことでした。

 

最初に訪問した時に追加で出せる資料などは書いていたのですが、それを求められることは一切ありませんでした。

 

自分としては有利になるのであれば、あれもこれも出しますよって何度か言いましたが、タイムカードと就業規則だけで調停が行われます。

 

弁護士ドラマにありがちな、

 

「 なにか決定的な証拠は! 」

 

なんて話はドラマだけなんだなって実感した瞬間ですね。

 

結局調停が5回繰り返され、長い戦いは終わりを向かえる時期になりました。

 

【体験談】残業代請求の結果は?

ある日、弁護士事務所から電話がかかってきました。

「 200万払うとのこと。調停員からもこの辺で合意を進められているがどうしますか? 」

 

そう弁護士先生から告げられました。

 

自分としては取れたらラッキー程度。

 

この連絡を受ける少し前に、現況だった上司が責任を取らされて地方に飛ばされたと言う話を聞いていた自分。

 

次に連絡きたらそれで合意で良いかなぁ・・・

 

と、漠然に考えていたのでその条件で合意することにしました。

 

まぁここからもう一悶着あって、200万を12回分割で払いたいとか言い始めましたね。

 

レアケースですが、弁護士先生からも支払いが長期化すると何らかの要因によって支払いが止まる可能性もある。

 

そう言われたので、3回以上は分割を認めないと主張してその内容で合意となりました。

 

最初の内容証明を送ってからすでに1年が経過していました。

 

マジで長かった!!

 

当然相手の会社によって異なるでしょうが、ケースによってはこれ以上時間がかかることもあるそうです。

 

そして、ここから弁護士への報酬の話になりました。

 

成功報酬35%だったので、この時点で70万が弁護士の報酬になります。

 

そこから印紙代、調停への日当などでもろもろ15万程度引かれました。

 

結果的に手元に残ったお金は110万程度。

 

あれだけ休みを削り、プライベートを削った結果がこの金額。

 

もちろん無いよりあったほうが良いんですが、時間を返してほしいなって気持ちのほうが大きくなりましたね。

 

【体験談】残業代請求を実際にやってみた感想

まずは法律に詳しくなければ、自分でやるというのはなかなかに大変だと思います。

 

度重なる調停と資料作成などがありますよね。

 

ただ、弁護士への依頼をしても調停開始がなかなか決まらなかったりして、やきもきする事も多くなると思います。

 

実際自分は調停開始前に2回ほど電話しちゃいました。

 

「日程を打診して回答待ち」

「○日頃で調停が決まりそう」

「日程が合わず再調整しています」

 

こんな感じなので、何時になったら始まるの!?って気持ちになりますよね。

 

正直、後々請求することを考えるなら早めに会社を見切って転職したほうがどれだけ建設的なのかとも実感した出来事です。

 

このページを見ている人は、実際に苦しんで悩んでいる人かもしれません。

 

もちろん、この内容は『 実話 』であり私の『 体験談 』です。

 

この内容が少しでも助けになると嬉しいですが、解決までにかかる時間は1年以上と思って望んだほうが気持ちが楽になるかもしれませんね。

 

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